有)大阪歯周インプラントセンターは正式登記された
有限会社(特例有限会社)であり、
医療法人 白鵬会は医療部となっています
歯周病治療の前に必要な検査
(歯周病で悩んでいる患者さんに知って頂きたいこと)
歯周病の治療を開始する前に必要な検査があります。
どれぐらい歯周病が進行しているのかを調べる検査です。
一般的に上下で28本の歯があります。歯周病になっても28本がすべて同じように進行している事はありません。残せないぐらいに歯周病が進行した歯もあれば、初期または中期で治療で残せる段階の歯もあります。それを知るために1本づつの歯の歯周病の進行度を検査することが必要です。残っている歯の1本づつに歯周病の診断がなされます。重度の慢性歯周炎や軽度の慢性歯周炎などです。
では実際どのような検査で診断するのでしょうか。
数多くの検査をしますが、主に以下の3つの検査から診断します。
・1)歯周ポケットの深さ(歯と歯肉の間の溝の深さを測ります)
検査動画(健康な歯肉の検査)
・2)検査時のポケットからの出血
(出血がある部位は細菌感染による炎症があります)
検査動画(重度の歯周病)
※出血の画像ですので血液を見て気分が悪くなる方はご遠慮下さい。
・3)歯の周りの骨の吸収程度
(歯周病が進行すると表面から骨が吸収してきます。)
エックス線写真
歯の周りの骨の吸収状態をこのようなエックス線検査で調べます。
全部の歯を診査するためには10~14ヶ所に分けて検査撮影をする必要があります。
歯周病の骨の状態を診査するには不可欠な検査です。 (健康な歯肉の状態)
検査結果から軽度(初期 ステージ IまたはII)・中等度(中期 ステージIII)・重度(末期 ステージⅣ)と3段階に診断されます。
・軽度の歯周病(初期 ステージ IまたはII)
ポケットが5mm以下、歯周炎による歯の喪失が過去にない、骨の吸収が歯の根の長さの1/3未満、CALが4mm以下
・中等度の歯周病(中期 ステージIII)
ポケットが6mm以上、過去に歯周炎によって4本以上の歯の喪失がある、骨の吸収が歯の根の長さの1/3を超える、CAL5mm以上
・重度の歯周病(末期 ステージⅣ)
ポケットが6mm以上、過去に歯周炎による歯の喪失が5本以上ある、骨の吸収が歯の根の長さの1/3以上、CAL5mm以上、フレアアウトや歯の移動が見られる。
※ CAL: Clinical Attachment Levelとは、
歯冠と歯根の境目(セメント−エナメル境界)からポケットの一番深い部分までの距離、歯ぐきの退縮などで変動するポケットの距離よりも変化が少ない。
※ フレアアウト、歯の移動(病的歯の移動)とは
歯周炎の進行によって前歯などが移動して外に出てくること。歯と歯の間に隙間ができたり、歯が長く見えてくる。奥歯などが斜めに傾いたり、上に伸びてくること。
今後の進行具合の予測が下記のA〜Cの3段階に分類されています。
この診断には糖尿病(HbA1c)、喫煙本数、全身の炎症所見を示す(CRP)などの全身的なデータも加味されています。
グレードA (緩やかに進行)
グレードB(中程度に進行)
グレードC(急速に進行)
(日本歯周病学会、AAPおよびEFPによる歯周病の新分類 2018年より)
※歯周病の治療の前にはこれらの検査と診断が必ずなされるはずです。
当院に来られる前に検査も診断もなされず、
“ひどい歯周病だ”、“歯を全部抜かないといけない”、“治療方法がないから仕方ない” 、
このように告げられた患者さんがいらっしゃいます。
これらは歯周病の診断ではありません。
歯周病の診断を下さずに歯周病の治療を開始することはできません。
歯を抜いたり、手術をすることも絶対にありません。
正しい検査と診断を行い、歯周病の進行段階に合った治療を行えば歯周病は治ります。
また以下のような治療も正しい治療ではありません。
”特別なうがい薬で治る(パーフェクトペリオなど)”
”歯周病内科”などの存在しない標榜科を作り、薬を服用するだけの治療”
”検査・診断・必要な治療を行わず、定期的に消毒(歯のそうじ)だけを行う治療”
これらは歯周病の正しい治療ではありません。
その間に歯周病はさらに進行して行きます。
日本歯周病学会でもそれらの治療の効果を認めていません。
歯周病が進行し、歯を抜くことは患者さんにとって大変辛いことです。
しかし放置すれば、さらに進行します。今なら残すことができる歯もあるはずです。
勇気を持って検査を受けて下さい。そして自分の歯周病の状態を正しく知って下さい。
これらの検査と診断は、日本歯周病学会の認定歯科衛生士や歯周病専門医の下で受けていただくことをお勧めします。